私の記憶法

2012/02/09

私の記憶法のベースはワタナベ式記憶術ですから、まずは、ワタナベ式の特長の話をします。

ワタナベ式記憶術の基本は「基礎結合法」と「連想結合法」です。

「基礎結合法」というのは「自分の身のまわりにある忘れないものを基礎にして、その基礎に覚えようとするモノを順序正しく結合して記憶する方法」(一発逆転記憶術p109)です。たとえば、10個のものを覚えるのに、左右の指に結び付けて覚えると、けっこう思い出せます。これは「基礎結合法」の書庫にありますから、詳細はそちらを見てください。

次に、「連想結合法」というのは「覚えたい2つ以上のことがらを「連想」でつなぎ、その順序どおりに記憶していく方法」(一発逆転記憶術p76)です。たとえば、「桃太郎、雨合羽、みつ豆」という3つのものを覚えるには、「桃太郎が雨合羽を着て、その雨合羽にみつ豆がぶらさがっている」と連想していくのです。

さて、この「基礎結合法」と「連想結合法」を併用すると、さまざまな文章をカンタンに覚えることができるようになります。寿限無の覚え方を「文章の暗記」の書庫にいれました。寿限無を覚えるには、左右の指を基礎にした「基礎結合」とパイポからの「連想結合」を併用して覚えています。文章を覚えたいとき、英語のテキストを覚えたいとき、百人一首を覚えたいときなどは、この「基礎結合法」と「連想結合法」を併用すると、驚くほど短時間で覚えることができます。

ところが、実際の入試対策の勉強でこのテクニックを使うのは、実はあまりないのです。たとえば、高校入試問題には「5・15事件で殺害された首相は誰か」とか「享保の改革を進めた中心人物は誰か」といった、事柄と事柄を結びつけた知識が必要なものがほとんどなのです。

では、どう対応するのか。私の記憶法では「意味づけ、ルールづけ、連想づけ」で覚えましょう、と言っています。この「意味づけ、ルールづけ、連想づけ」が私の記憶法の一番の特長であり、特に社会科でこのテクニックを使って覚えると飛躍的に成績が上がります。これに対してはワタナベ式ではそれほど説明されていません。

それでは、この「意味づけ、ルールづけ、連想づけ」について説明します。

「意味づけ」とは、「ものごとは意味がわかって初めて思い出せるようになる」ということです。「そんなの当たり前じゃないか」と思われるかも知れませんが、世の中には「意味がわからずに覚えようとしている」ことが案外多いのです。

たとえば、中学の理科で「空気の組成は窒素が78%で酸素が21%、二酸化炭素などその他の気体が1%である」という内容がでてきます。この文を読ませて、さて、「空気のほとんどをしめているのは何?」と質問しても、すぐ答えられる生徒は少ないでしょう。また、「酸素」と答える子が何人かいるのです。

それは「酸素」は「人間が生きていく上で必要な気体で、ものが燃えるのに必要なもの」ということを聞いたことがあるから、生徒にとって酸素は「意味のあるもの」だから思い出せるのです。しかし、窒素は「意味づけ」がされてないので、(それまでに聞いたことのない生徒が多いので)答えられる子が少ないのです。

だから、私はこう説明します。「昔、空気の入ったいれものの中にねずみを入れて、その中でものを燃やしたところ、ねずみは窒息してしまった。つまり、空気から酸素がなくなった気体の中では、ねずみが窒息した。窒息したもとになった気体だから窒素と名づけたんだよ。」(理科中学事典・数学研究社p12をもとに作成)こう説明すると窒息の素だから窒素というように窒素に「意味づけ」がされるので、先ほどの質問に「窒素」と答える子が増えてきます。

さらに、78%や21%という数字は、そのままでは意味がないので、なかなか覚えられませんが、酸素の21%は「3(=酸)、2,1」、窒素の78%は「シチハチっそ」と語呂合わせで覚えさせると、ほとんどの生徒が答えられるようになります。

これが「意味づけ」ですが、いろいろな例を「意味づけ」の書庫に入れますので、またのぞいて見てください。

次に、「ルールづけ」ですが、これは「ものごとはルールが見出せると思い出しやすい」ということです。

たとえば、153957という数字と123456という数字を覚えるように言われたら、どちらのほうが思い出しやすいですか?ほとんどの人は123456の方が思い出しやすいと答えます。それは123456という数字が「1から1ずつ増えて6までの数字が並んでいる」というルールに基づいているからです。

都道府県の数を覚えるのに、よく1道1都2府43県、と覚えるように言われますが、これでは、43県がなかなか覚えられない。42だっけ、44だっけ、47だっけ?と間違ってしまう。ところが、43県、2府、1道、1都と覚えると、数字が43,2,1,1とならぶので、間違えることがなくなります。これも、「ルールづけ」の1つです。

「ルールづけ」の書庫にはいろいろな例を入れました。こういう例を見て、自分でいろいろなルールを探し出せるようになると、暗記科目も面白くなりますよ。

最後に「連想づけ」ですが、これには大きく「連想ゲーム記憶法」と「置き換え」の2つのテクニックがあります。

「連想ゲーム記憶法」は覚えようとする2つのものを連想で結びつけるというテクニックです。ワタナベ式では「外連想」と言っているものです。たとえば、「牛」と「梅干」を結びつけようとすると、「牛といえば、よだれ、よだれといえば、すっぱいもの、すっぱいものといえば、梅干」といったような具合です。これは、特に歴史科目で活用できるテクニックです。たとえば、「院政」と「白河上皇」を結びつけるには、「院政」といえば、(院政は天皇が位を若い天皇に譲った後も権力をもつものなので、院政を行う上皇は)「年寄り」、「年寄り」といえば、「白髪(しらが)」、「しらが」といえば、「白河」→「白河上皇」といったような感じで結び付けます。こういう連想による結べつけを行っておくと、覚えやすいし、思い出しやすい、そして間違わない。そして「度忘れ」がなくなります。

「置き換え」は覚えようとするものを他のものに置き換えて覚えようとするテクニックです。ワタナベ式では「変換記憶法」と呼んでいるものです。これは、特に法律や経済といった抽象的なことばがたくさん出てくる科目の勉強に役立ちます。

たとえば中学3年生の公民で「基本的人権」というのが出てきます。「基本的人権には、平等権、自由権、社会権、基本的人権を守る権利の4つがある」という具合です。これを、平等権、自由権、...と覚えようとしてもなかなか覚えられないし、さらに、「生存権」「勤労の権利」「環境権」などが同じ単元で出てくると大変です。

ところが、平等権を「シーソー」に置き換えて、シーソーの左側に自由の女神が立っている(自由権)、シーソーの右側に社会の教科書がデンと乗っている(社会権)、そして、このシーソーの前に腕組みをしてこのシーソーを守っている人たちがいる(基本的人権を守る権利)、というふうに平等権、自由権、社会権、基本的人権を守る権利をシーソー、自由の女神、社会の教科書、守るひとたち、に置き換えると基本的人権の4つがすっと頭の中に入ります。

「連想ゲーム記憶法」と「置き換え」の例は「連想づけ」の書庫に入れています。

さて、いろいろな例を参照して、ご自身で活用していただければいいのですが、中には「こんな発想はなかなか身につかない」という方もいます。そんな人は私の記憶法講座の中の「歴史の暗記講座」や「英単語の暗記講座」に出席してみてください。いろんな例を紹介しますので、そのうち、覚えるコツが身についてきます。

そうでなくても、たとえばワタナベ式の本を読んだけれどもなかなか活用できない、ワタナベ式のトレーニングを楽しくやってみたい、子供の勉強に少しでも役立つテクニックを知りたい、という方は、基礎結合法トレーニング、連想結合法トレーニングがお勧めです。

基礎結合法トレーニングでは、30人の名前暗記を目標に、基礎結合法のトレーニングを行い、「意味づけ、ルールづけ、連想づけ」のテクニックを実践します。このトレーニングを受講したみなさんは、ほとんどの人が30人の名前を最初から最後まで順序どおり、すらすらと出せるようになります。

連想結合法トレーニングでは、連想結合法の練習をしたあと、円周率50桁の暗記や、「枕草子」の最初などの文章の暗記に挑戦します。こんなにカンタンに覚えられるのか!といいうのが、ほとんどの受講者の感想です。